COLUMN

ガンチャ「P・ロゼ」

スペック

【生産地】 イタリア、ロンヴァルディア

【生産者】 F.LLI GANCIA&C.SpA

【販売者】 アサヒビール

カルロ・ガンチャ

青年時代のカルロ

カルロ・ガンチャ

現在「スプマンテ」と呼ばれるイタリアのスパークリング・ワインは、イタリア人カルロ・ガンチャによって150年前に生み出されました。
カルロ・ガンチャの作ったワイナリーは、それから150年の間スプマンテの中心的な存在であり続けています。


青年時代のカルロ・ガンチャは、トリノの大学で化学と薬学を研究し、ワイン醸造の分野に関心を示していました。
彼は18歳の時にベルモット(フレーバード・ワイン)の芳香を鋭くするための新たなレシピを作り出しました。
ベルモットは香草によって香り付けを行いますが、彼は過去のさまざまな事例を調べ、ベースにマスカットを用いました。
こうした感性や技術、あるいは体験が、その後のスプマンテの誕生につながったのかもしれません。


スプマンテの誕生

当時の北イタリアのピアモンテの貴族や上流階級は、フランスのシャンパンを愛飲していました。
そこでカルロは、シャンパンのきめ細かな泡を生み出す技術を学ぶべく、1848年にトリノからランスに赴きます。


ランスから1850年に帰国したカルロは、シャンパンの生産技術を使用し、イタリアで最初のスパークリング・ワインを生み出そうとします。
それも、ただシャンパンをイタリアで造るということではなく、シャンパンとはベースの異なった醸造法として、マスカットを用いることを考えていました。
そして自在な研究活動を行うために、「フラテリ・ガンチャ」社を設立します。


カルロのイタリア産スパークリング・ワインの研究は、難航しました。
糖分の高いマスカットを原料にするため、発酵する過程で炭酸が発生しすぎ、多くのボトルが破砕しました。
しかしカルロは情熱を失わず、研究に着手してから15年後の1865年、ようやく問題の解決に成功します。


スプマンテとガンチャの黎明期

スパークリング・ワインのための葡萄の栽培や醸造場所が、シャンパンの起源である土地から離れることに成功したことは、重要なことでした。
そしてこのことが生産者としてのガンチャの将来を決定付けました。
また、スプマンテという新しいお酒の始まりでもありました。


カルロは、早くから熟練した企業家と戦略家としての側面も見せています。
細々とした契約を積み重ねて信頼を得て、流通のためのネットワークを構築してゆきました。
それでも、当初の主要なクライアントは、まだ都市部のカフェテリアや蒸留所のみでした。


1870年代になると、ガンチャは宣伝活動に力を入れ、「マスカット・シャンパン」使節を編成し、高級ホテルなどの洗練された場所でイタリアの上流階級に宣伝してゆきました。
また、パリでは「シャンパンのイタリア版を造っているだけ」という広告を展開し、イタリア王室はガンチャに「白いガンチャ、上流階級と特権階級のベルモット(フレーバードワイン)」という文言を認可しました。
こうしてガンチャの人気と販売量は増加してゆきますが、堅実な経営を行うフラテリ・ガンチャ社は、販売地域をトリノ、ロンドン、ブリュッセル、およびローマなどに絞っていました。

20世紀のガンチャ

2代目カミッロ・ガンチャ

カルロの息子、カミッロは1893年に19歳でフラテリ・ガンチャに入社しました。
このとき、ガンチャは販路をフランス、ドイツ、スイスなど国際的に広げていました。
カミッロは有名な芸術家であったチェーザレ・スカッギにスプマンテで乾杯する女性の姿を画いたポスターを作らせるなど、有効な販促を行いました。


そして1897年、初代カルロが死去。
カミッロは23歳で会社を継ぐことになります。
このとき、フラテリ・ガンチャのスパークリング・ワインの生産は、年間100万瓶に達していました。


20年後、ガンチャはトスカーナ地方のワイナリー「ミラフォーレ」を買収するなどして基盤を拡張しており、カミッロは企業家の象徴的な存在となっていました。
第一次世界大戦を経て販路をアメリカにまで拡大し、宣伝には変わらず芸術家を積極的に起用しました。


半世紀の軌跡

20世紀後半のガンチャは、スプマンテを代表する銘柄としてのブランドイメージの構築を行ってきました。
1950年には100周年祭を大々的に実施。
60年代にはポップアートを広告に用いるなどし、70年代には個人用の小さなボトルを採用して話題を呼びました。
1993年には、日本や中国への輸出も行われるようになりました。


ガンチャの生産するアスティは、1993年にイタリアワイン法で定められたDOCG(統制保証付原産地呼称)へ昇格。
イタリア全土で36ブランドしか指定を受けていない最上級ランクへの仲間入りを果たしました。


現在は、5代目ランベルト・ヴァラリーノ・ガンチャが代表を務めています。
ガンチャは、創業以来続く家族経営の伝統を貫きながら、「アスティ・スプマンテ」をはじめとするスパークリングワインの他、品質の高いスティルワインやヴェルモットを製造し世界中に販売しています。

ガンチャ・アスティ・スプマンテ

ガンチャ・P・ロゼ Gancia P. Rose

社

MIDORIでご用意しているガンチャ・アスティは、「ガンチャ・P・ロゼ」。
ピノ・ネロ品種を用いた、辛口のスプマンテです。


色合いは澄んだピンク色に僅かにゴールドを帯びており、バラのような豊かな芳香があります。
風味はしっかりとした構成で調和がとれ、飲んだ後には花やプラムの香りが残るとされます。


相性のいい料理は、冷製の肉料理や白身魚のカルパッチョなど。
また、各種のケーキやフルーツと合わせても楽しめます。


代表銘柄

ガンチャ・アスティ・スプマンテの「Pロゼ」以外の代表的な銘柄は、以下のものです。

【ガンチャ・アスティ・スプマンテ】
ふくよかなマスカットの香りと甘く爽やかな口当たりが特徴。100%モスカート・ビアンコ種でつくられる、世界的にも有名な甘口のスプマンテ。

【ガンチャ・スプマンテ・ロッソ】
爽やかでみずみずしい甘味と、赤ワインならではのかすかな渋みが特徴。ブラケットやマルヴァジーアなど、香り豊かな品種からつくられる、めずらしい赤のスプマンテです。

【ガンチャ・ブリュット・スプマンテ】
シャルドネ種を主体に使用したスプマンテ。きめの細かい泡立ちと果実の香り。繊細でフルーティな味わいのスタイリッシュな辛口タイプ。

【ガンチャ・プロセッコ・スプマンテ】
ヴェネト州のプロセッコ種から造られる辛口スプマンテ。明るい麦わら色、きめの細かい泡立ち、新鮮なりんごのような味わいが特長。

【カルロ・ガンチャ】
・ガンチャ社の創業者であるカルロ・ガンチャの名を冠したガンチャブランドの最上級品。
厳選されたピノ・ネロ種とシャルドネ種から造られたワインのキュヴェのみを瓶内二次発酵させる。
ゴールドがかった麦わら色、バニラや熟れた果実の香りを持ち、豊かでバランスのとれた味わい。

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